食品・飲料メーカーの海外PL保険|輸出した食品・お酒の事故で問われる責任と、取引先から求められる保険の証明

最終更新:2026年11月3日

食品・飲料メーカーの海外PL保険とは、輸出した食品やお酒が原因で、海外の消費者が体調を崩したりけがをしたりしたときに、メーカーや輸出者が負う損害賠償金と、海外での訴訟に対応する費用に備える保険です。

日本の食品やお酒の輸出が広がるなかで、海外の輸入者や小売店から「PL保険に入っているか」「当社を追加被保険者にした保険証明を出してほしい」と求められる場面が増えています。この記事では、食品・飲料メーカーが確認しておきたい点を順に整理します。

1. 食品・飲料の輸出で起こりやすい事故

輸出した食品やお酒が原因で、海外の消費者が体調を崩したりけがをしたりすると、メーカーや輸出者が賠償を求められることがあります。起こりやすいのは次のような事故です。

  • 異物の混入:金属片やガラス片で口の中を切った、歯が欠けた
  • アレルギー:原材料の表示漏れや、製造ラインでの混入によるアレルギー症状
  • 食中毒:保管や輸送中の温度管理、製造時の衛生管理に起因する健康被害
  • 容器の破損:瓶や缶の破裂、ふたの不具合によるけが

食品の事故は、同じ製造ロットの商品を食べた複数の人から請求が来ることがあり、1件の事故が大きくなりやすいのが特徴です。

2. 表示は「輸出先の基準」で問われる

アレルゲンや原材料、賞味期限の表示は、日本の基準ではなく輸出先の国の基準で判断されます。日本で問題のない表示でも、輸出先の表示ルールに合っていなければ、事故のときに「警告が不十分だった」として責任を問われることがあります。現地の輸入者が表示を作り直す場合は、どちらの責任になるかを取引条件で確認しておくことが大切です。

3. 輸入者・販売店から求められる保険の条件

海外の輸入者や小売店、ECサイトと取引を始めると、次のような条件が届くことがあります。

  • 製品の事故に備える賠償責任保険(海外PL保険)に入っていること
  • 輸入者や販売店を追加被保険者にすること
  • 1事故あたりの支払限度額を指定どおりにすること(北米向けは100万USD以上を求められることが多くあります)
  • 英文の保険証明(COI)を、初回の出荷前に提出すること

保険証明の書式や記載内容が指定と違うと、差し戻しや出荷の保留につながります。届いた条件は、訳さずにそのままお送りください。

4. 輸出先の地域で変わること

北米(アメリカ・カナダ):食品の事故でも訴訟になりやすく、輸入者や小売店から高めの限度額と追加被保険者を求められるのが一般的です。

ヨーロッパ:アレルゲン表示などのルールが細かく、EUの製造物責任のルールも2026年12月9日から新しくなります。EU域内の輸入者が責任を問われる場面も想定し、輸入者から保険の条件が届くことがあります。

アジア(東南アジア・中国・台湾など):日本の食品の人気が高く、輸出が増えやすい地域です。国によっては付保規制があり、現地の拠点の責任は現地で手配することがあります。

5. 海外PL保険で備えるもの、別に備えるもの

  • 海外PL保険で備える:事故による損害賠償金、海外での訴訟に対応する費用(契約の設定による)
  • 別の保険で備える:製品の回収(リコール)にかかる費用、輸送中の商品の損害、代金が回収できないリスク

回収の費用は、海外PL保険では原則として対象外です。回収の可能性が高い商品や、取引先から回収費用の負担を求められている場合は、別の保険(リコール保険)を組み合わせます。

6. お見積りに必要な情報

  • 商品の種類(加工食品・飲料・お酒・調味料など)と主な原材料
  • 輸出先の国・地域と、年間の輸出額(見込みで構いません)
  • 販売の形(輸入者経由/小売店へ直接/海外ECサイト)
  • 取引先から届いている保険の条件(原文のまま)
  • いま加入している国内のPL保険の証券

7. よくあるご質問

お酒の輸出でも入れますか

ご相談ください。当センターでは、ヨーロッパ・北米向けのお酒の輸出についてもご相談をいただいています。商品と輸出先を伺って確認します。

少量のサンプル出荷や展示会での試食でも必要ですか

海外の展示会での試食は、主催者から賠償責任保険の加入と英文の保険証明を求められることがあります。海外展示会保険のページもあわせてご覧ください。

輸入者が保険に入っていれば、こちらは不要ですか

輸入者の保険が、メーカーである御社への請求まで対象にしているとは限りません。事故の原因が製造にあるとされれば、メーカーが直接請求を受けることもあります。

8. まとめ

食品・飲料メーカーの海外PL保険は、事故の種類、輸出先の表示ルール、取引先から求められる条件を合わせて考えるのが近道です。海外PL保険の見積・加入のページから、取引先の条件書をそのままお送りください。あわせて海外PL保険とは、海外取引の保険もご覧ください。

  • このブログの記事は「若宮大志」が書きました。

    若宮大志

    平素、ご契約者様には弊社にて保険契約を賜り、誠にありがとうございます。また取引業者様におかれましても、弊社の業務運営において日頃多大なご支援をいただき感謝を申し上げます。

     さて昨今の大きな問題として、自然災害の増加、資源・物価高による保険金の増大、保険金の不正請求等にもより、お客様にお支払いいただく保険料の上昇が顕著となった1年間でした。また損保大手4社による企業カルテル問題では、大きなところでは政策保有株の原則禁止と表明されたり、小さな部分では他社証券の取得や満期更改情報の取得を制限すると表明されたりしましたが、実質的に保険業界の企業体質はなかなか変わらないことが危惧されます。また保険会社の営業職員や保険代理店社員がお客様の保険料を不正に流用したり、店主が顧客と結託し、保険金詐欺に加担していた事件も明るみとなりました。

     国も企業も、身を正すことができない大人たちが跋扈することによって、業界が成長しないばかりか市場における競争力が失われ続けていると感じます。それは国内のみならまだしも、グローバルで相対的に力を失っているのが一番大きな弊害だと感じるものです。

     私たち株式会社BEAMリスクマネージは、政府による指導や保険会社の改革を待つのではなく、高いレベルのコンプライアンス基準による業務遂行を通じ、日本を、世界をリードする最先端の保険コンサルティング会社を目指してまいります。引き続きのご指導、ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。


    2024年12月吉日
    株式会社BEAMリスクマネージ
    代表取締役 若宮 大志

     

    プロフィール

    若宮 大志(わかみや たいし)
    株式会社BEAMリスクマネージ 代表取締役
    海外ビジネス保険センター(GBIC東京)責任者

    外資系保険会社勤務10年超を経て独立し、海外ビジネス保険を専門に扱っています。

    AIG損害保険株式会社に在籍したのち、2020年5月に株式会社BEAMリスクマネージを設立。同年8月にAIG損害保険を退職し、独立しました。

    国内の法人保険を手がける中で、海外に事業を広げようとする中小企業が「英文の証券が用意できない」「主催者から届いた英文の要求が読み解けない」という理由で、商談や出展を止めてしまう場面に何度も立ち会いました。保険が事業の足かせになっている——この状況を変えたいと考え、海外ビジネス保険に専門特化しています。

    現在も、AIG損害保険をはじめChubb損害保険、スター保険会社など、海外リスクの引受に強い保険会社を取り扱っています。

    専門領域

    • 海外展示会保険(主催者指定要件への対応、英文付保証明書の発行)
    • 英文CGL・PL保険(海外での賠償責任)
    • 外航貨物海上保険(輸出入貨物の輸送中・保管中)
    • 貿易保険
    • 取引信用保険(海外売掛債権の未回収リスク)
    • 海外リコール保険
    • 海外拠点を含むサイバー保険
    • グローバル保険プログラム(海外子会社を含む保険の一元管理)

    取扱保険会社:AIG損害保険、Chubb損害保険、スター保険会社

    保有資格

    • 損害保険トータルプランナー(日本損害保険協会)
    • 貿易実務検定

    対応実績

    これまでに、次のような先からご相談をいただいています。

    • 東証プライム上場企業
    • 大手グループの子会社
    • 大学・国立研究機関・学会
    • 海外へ販路を広げる中小企業・メーカー

    2026年10月、ジェトロ(日本貿易振興機構)Webサイトの「JS LINKS」に掲載されました。

    海外展示会の保険手配では、主催者が求める補償項目・補償限度額・追加被保険者(Additional Insured)の記載要件を確認したうえで保険を設計し、英文付保証明書(COI)を発行しています。

    英語対応

    英文証券および英文付保証明書(COI)の発行に対応しています。

    主催者から届く英文の出展要項を読み解き、「Commercial General Liability USD 1,000,000」「Additional Insured」「Waiver of Subrogation」といった要求条件が日本のどの保険に対応するのかを確認したうえで手配します。

    出展要項をそのままお送りいただければ、こちらで内容を確認します。

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    海外ビジネス保険センター(GBIC東京)
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