英文付保証明書(COI)発行|Additional Insured・Waiver of Subrogation対応
英文付保証明書(Certificate of Insurance/COI)とは、保険に加入している事実を英文で証明する書面です。海外の展示会主催者や取引先が、契約や出展の条件として提出を求めます。
問題は、証明書そのものより「相手が要求している条件を満たしているか」です。日本語の保険証券を英訳しただけでは、項目が合わず差し戻されます。
海外ビジネス保険センター(GBIC東京)では、送られてきた英文の要求文を読み解き、条件を満たす保険を手配したうえでCOIを発行します。要求文の解読からご依頼いただけます。
COIを求められる場面
展示会だけではありません。実際にご相談をいただいているのは、次のような場面です。
- 海外展示会への出展 … 主催者・会場所有者から出展条件として
- 輸出取引 … 取引先や輸入者から契約条件として
- 現地据付工事 … 発注者や元請から、作業に入る前提として
- 入札 … 応札要件として付保証明の提出が指定される
- 倉庫の賃貸借 … 貸主から借主の賠償責任保険の証明を求められる
- 代理店契約 … 契約書に付保義務と証明書提出の条項が入っている
いずれも「保険に入っているか」ではなく、「指定された条件どおりに入っているか」が問われます。
実際の要求文を読み解く
相手から届く英文は、たとえば次のような形をしています。読み慣れないと、どこが要求事項なのか判別できません。
The Exhibitor shall maintain, at its own cost, comprehensive general liability and public liability insurances, including contractual liability and liability for personal injury, bodily injury, property damage and completed operations liability. The minimum amount required is $1,000,000 per claim, $2,000,000 policy aggregate.
The Organizer and the Venue Owner shall be named as additional insured under any general liability insurance coverage. The insurance policy will be endorsed with a waiver of subrogation in favor of the Organizer and apply primary and non-contributory regardless of any other insurance policies that may be in force.
The insurance shall contain a provision or endorsement that the policies may not be cancelled, terminated, changed or modified unless thirty (30) days' prior written notice thereof is provided. Certificates of insurance shall be delivered to the Organizer prior to the Event.
※上記は、実際の出展要項や契約書に頻出する条項を集めた典型例です。
条項ごとの意味と、日本の保険での対応
| 英文 | 意味と実務上の注意点 |
|---|---|
| comprehensive general liability / public liability | 包括的な賠償責任保険。日本でいうCGL(企業総合賠償責任保険)に相当します。英文証券での手配が前提です。 |
| contractual liability | 契約上の賠償責任。契約によって引き受けた賠償責任まで対象に含めることを求めています。 |
| personal injury | ここが最も誤解される項目です。「人身傷害」ではなく人格権侵害(名誉毀損、プライバシー侵害、不当な拘束など)を指します。身体のケガは次の bodily injury です。基本契約では対象外のことがあり、特約での手当てが必要になります。 |
| bodily injury / property damage | 身体障害/財物損壊。賠償責任保険の基本部分です。 |
| completed operations liability | 完成作業危険。作業や工事が完了した後に、その仕事に起因して生じた事故の賠償責任です。据付工事やメンテナンスで求められます。 |
| $1,000,000 per claim, $2,000,000 policy aggregate |
限度額は2階建てで指定されます。「1請求あたり100万USD」かつ「保険期間中の総額200万USD」という意味です。片方だけ満たしても要件を満たしません。 |
| named as additional insured | 追加被保険者。主催者や会場所有者を、保険の被保険者として証券に記載することを求めています。詳細は後述します。 |
| waiver of subrogation | 求償権の放棄。保険会社が相手方(主催者など)に対して求償しない、という取り決めを裏書で加えます。 |
| primary and non-contributory | 他に保険があっても、この保険が優先して支払われ、按分しないという条件です。相手方は自社の保険を使いたくないため、この指定が入ります。 |
| thirty (30) days' prior written notice | 解約・変更する場合は30日前に書面で通知すること。相手方が「知らないうちに保険が切れていた」事態を防ぐための条項です。 |
| Certificate Holder | 証明書の宛先。日本の保険契約でいう「保険契約者」とは別の概念で、英文証券ならではの項目です。誰を記載するかを必ず確認します。 |
要求文をそのままお送りいただければ、この読み解きからご対応します。どの条項が何を意味し、どう手配すれば満たせるのかを日本語で整理してお返しします。
日本語の保険証券を英訳するだけでは足りない理由
「英訳を付ければよい」と考えて差し戻された、というご相談を実際に受けています。理由は3つです。
1. 項目が要求と一致しない
英文の要求文が指定する項目と、日本語証券の記載項目は一対一で対応しません。訳しただけでは「どこにその条件が書いてあるのか」が示せず、そのまま差し戻されます。
2. そもそも保険内容が要件を満たしていない
翻訳の問題ではなく、契約内容が付保要請どおりになっていないケースです。限度額が足りない、personal injury が対象外、追加被保険者の記載がない——訳し方を変えても解決しません。
3. 英文証券にしかない項目がある
代表例が Certificate Holder(証明書の宛先)です。日本の保険契約における「保険契約者」とは異なる概念で、日本語証券には対応する欄がありません。訳しようがないのです。
Additional Insured(追加被保険者)の実務
要求文で最も多く登場し、かつ最もつまずきやすい項目です。
「主催者を追加被保険者に入れてほしい」と言われて国内向けの一般的な賠償責任保険で対応しようとすると、保険期間の途中では追加できないと言われたり、そもそも承認が下りなかったりします。期中の被保険者追加が想定されていないためです。
一方、海外ビジネス向けに設計された保険であれば、1年間の契約でも追加被保険者を設定できるケースが多くあります。
- 製造業の法人が、輸出に伴って現地の輸入者や販売店を追加被保険者に設定する
- 企画・販売のみを行う事業者が、国内外のOEM製造者を追加被保険者に設定する
展示会の開催期間だけを対象にした保険でも、追加被保険者の設定は可能です(※一部例外あり)。期間が短いから設定できない、ということはありません。
つまり、年間契約でも開催期間だけの契約でも対応できます。「年間だから無理」でも「短期だから無理」でもありません。海外ビジネス向けの保険として設計されているかどうかが分かれ目です。「既存の代理店に頼んだが対応できないと言われた」という経緯でご相談に来られる方の多くが、この違いによってつまずいています。
既にご契約中の保険からCOIを発行できますか
発行は可能です。ご契約内容が相手方の要求条件を満たしていれば、そこから英文付保証明書を発行できます。
ただし、ご契約が国内向けの賠償責任保険の場合は、追加被保険者の記載や特約の付帯が期中では難しいことがあります。まず要求文と現在のご契約内容を照らし合わせるところから始めるのが確実です。
発行までに必要な期間
用途によって大きく変わります。ここを見誤ると、提出期限に間に合いません。
| 用途 | 必要な期間 |
|---|---|
| 海外展示会への出展 | 最短7営業日 |
| 通常の事業活動に関わる保険 (据付工事・輸出取引・入札・代理店契約など) |
2週間程度(長い場合は1か月) |
展示会は、補償する期間と場所が限定されているため短期間で手配できます。
一方、事業活動そのものを補償する保険は、そう簡単ではありません。実際の業務内容、業種特有のリスク、作業範囲などを詳しくうかがったうえで、保険会社と引受条件を折衝する必要があります。中身を確認せずに形だけ整えても、いざというときに使えない保険になってしまうためです。
提出期限が決まっている場合は、逆算して早めにご相談ください。期限が迫っている場合も、まずはお電話ください。
差し戻された場合の対応
修正・再発行に対応できます。
ただし当社では、そもそも差し戻されないように事前に手を尽くします。相手方の要求文を精読し、指定された記載事項・限度額・追加被保険者の条件を1つずつ照合したうえで発行するためです。
差し戻しが起きると、提出期限までの時間がそのまま失われます。会期や工期が迫っているときほど、この差は大きくなります。一度で通すことを前提に準備するのが、当社の進め方です。
よくあるご質問
英文付保証明書(COI)とは何ですか?
保険に加入している事実を英文で証明する書面です。Certificate of Insurance の略で、海外の展示会主催者や取引先が、出展や契約の条件として提出を求めます。
展示会以外でもCOIを求められることはありますか?
あります。輸出取引、現地据付工事、入札、倉庫の賃貸借、代理店契約などで、契約条件として付保証明の提出が指定されます。
日本語の保険証券を英訳すれば足りますか?
足りないケースがほとんどです。項目が要求と一致せず差し戻される、契約内容自体が付保要請を満たしていない、Certificate Holder のように日本語証券に対応欄がない項目がある——この3つが主な理由です。
Certificate Holder とは何ですか?
証明書の宛先です。英文証券ならではの項目で、日本の保険契約でいう「保険契約者」とは異なる概念です。誰を記載するかは相手方の指定に従います。
personal injury は「ケガ」のことですか?
いいえ。personal injury は人格権侵害(名誉毀損、プライバシーの侵害、不当な拘束など)を指します。身体のケガは bodily injury です。混同されやすい項目で、基本契約では対象外のことがあるため特約での手当てが必要になります。
「$1,000,000 per claim, $2,000,000 aggregate」はどういう意味ですか?
限度額の2階建て指定です。「1請求あたり100万USD」かつ「保険期間中の総額200万USD」を意味します。片方だけを満たしても要件を満たしません。
Waiver of Subrogation とは何ですか?
求償権の放棄です。保険会社が相手方(主催者など)に対して求償しないという取り決めで、裏書によって加えます。
Primary and Non-Contributory とは何ですか?
他に保険があっても、この保険が優先して支払われ、按分しないという条件です。相手方が自社の保険を使わずに済むよう指定されます。
主催者を Additional Insured に入れてほしいと言われました
海外ビジネス向けに設計された保険であれば設定できます。1年間の契約でも、展示会の開催期間だけを対象にした契約でも対応可能です(一部例外あり)。輸出に伴って現地の輸入者や販売店を加える、OEM製造者を加えるといった対応も行っています。国内向けの一般的な賠償責任保険では期中追加が難しいことがあるため、現在のご契約内容とあわせてご相談ください。
今入っている保険からCOIだけ発行できますか?
発行は可能です。ただし追加被保険者の記載や特約の付帯が必要な場合は、期中の変更が難しいことがあります。まず要求文と現在のご契約内容の照合から始めます。
COIの発行までどのくらいかかりますか?
海外展示会への出展であれば最短7営業日です。据付工事や輸出取引など通常の事業活動に関わる保険の場合は、業務内容や業種特有のリスクをうかがったうえで保険会社と折衝するため、2週間程度、長い場合は1か月ほどをいただきます。
提出したCOIを差し戻されました。修正できますか?
対応できます。当社では要求文を精読し、指定された記載事項を1つずつ照合したうえで発行するため、差し戻し自体が起きにくい進め方をしています。他社で発行されたCOIについても、どこが要件を満たしていないかの確認からご相談いただけます。
英文の要求文が読めないのですが、相談できますか?
そのままお送りください。どの条項が何を意味し、どう手配すれば満たせるのかを日本語で整理してお返しします。要求文の読み解きからご依頼いただけます。
関連ページ
海外展示会への出展にあたってのCOIについては、補償範囲・保険料の目安・対応実績を含めて詳しくご案内しています。
執筆・監修
若宮 大志(海外ビジネス保険センター(GBIC東京)責任者/株式会社BEAMリスクマネージ 代表取締役)
保険業界での実務経験13年、うち8年を海外ビジネス保険に専従。AIG損害保険を経て独立。損害保険トータルプランナー(日本損害保険協会)、貿易実務検定。英文証券および英文付保証明書(COI)の発行に対応。
ご相談
相手方から届いた英文の要求文をお持ちでしたら、そのままお送りください。内容を確認し、必要な保険と手続きをご案内します。
海外ビジネス保険センター(GBIC東京)
TEL 03-4218-6981(平日 9:30〜18:00)
Email info@beam-rm.jp
