英文CGLを扱える保険代理店が少ないのはなぜか|海外ビジネス保険の相談先を選ぶときに確かめたい5つのこと

「英文CGLに入りたい」と保険代理店に相談して、「取り扱いがありません」「海外業務遂行の特約ならあります」と返された経験はないでしょうか。英文CGL(海外の相手方が求める包括的な賠償責任保険)を実際に設計し、英文の証明書まで出せる保険代理店は、国内では多くありません。

この記事では、なぜ少ないのかを整理したうえで、海外ビジネスの保険の相談先を選ぶときに確かめたい5つの点を挙げます。

1. 英文CGLとは

英文CGLは、米国の Commercial General Liability を基本にした、英文の約款で引き受ける賠償責任保険です。海外展示会の主催者、海外の取引先、海外の設置・保守の発注者が求める証明書(COI)は、この英文CGLを前提にしています。

国内の賠償責任保険と何が違うかは「CGL保険とは?英文CGL完全ガイド」に、いまの保険に特約を足しても足りない理由は「海外展示会や海外の取引先からCGL保険の証明書(COI)を求められたら」にまとめています。

2. 扱える代理店が少ない理由

理由1:引き受ける保険会社が限られる
英文CGLは、国内で一般に流通している賠償責任保険とは約款も引受の審査も別です。引き受けられる保険会社が限られ、その保険会社と英文CGLの取扱いについての契約がある代理店でなければ、そもそも見積を出せません。

理由2:要求文を読み解く作業が要る
相談の起点は、相手方から届いた英語の要求文です。Each Occurrence、General Aggregate、Additional Insured、Primary and Non-contributory、Waiver of Subrogation といった項目を、保険の設計に落とし込む必要があります。ここは英語力だけでは足りず、海外の賠償実務の知識が要ります。

理由3:証明書(COI)を発行する実務が要る
契約が成立した後、要求文の項目に沿って英文の証明書を作り、相手方に照合してもらい、差し戻しがあれば直す。展示会の申込期限や契約書のサインの期限に間に合わせる段取りも含めて、実務の量が国内の保険と比べて格段に多くなります。

理由4:件数が少ないので、経験が積み上がらない
英文CGLの相談は、国内の自動車保険や火災保険に比べれば圧倒的に少数です。年に数件では経験が積み上がらず、要求文の型や相手方の照合のクセを覚えられません。結果として、扱える代理店がさらに絞られていきます。

当センターは、海外展示会向けの保険と英文CGLに特化してこの実務を積み上げてきました。海外展示会の保険手配は180件以上、2024年からは海外案件で年間100件を超えるご相談をいただいています。

3. 相談先を選ぶときに確かめたい5つのこと

1. 要求文を英語の原文で読んでくれるか
和訳を求められる相談先は、要求文の項目を保険の設計に落とし込む作業を、こちらに任せていることになります。原文を受け取って、項目ごとに「満たせる/満たせない/交渉が要る」を返してくれるかを確かめてください。

2. 証明書(COI)の発行を、期間と差し戻しの対応で答えられるか
「出せます」ではなく、「契約成立から何営業日で出せるか」「相手方の照合で差し戻しがあった場合にどう対応するか」を答えられるかどうかです。当センターでは、契約成立から証明書のお渡しまで最短7営業日、照合が入る場合で10営業日程度です。

3. 追加被保険者・一次性・代位求償の放棄を設計できるか
限度額の話だけで終わる相談先は、付保要請の残りの項目を満たせない可能性があります。この3つを、要求文のどの文言に対応させるかまで説明できるかを確かめてください。

4. 免責条項と訴訟費用の扱いを先に説明するか
海外展示会での事故が免責になっている国内の約款があること、国内の総合的な賠償責任保険では海外の訴訟費用が出ないことを、こちらが聞く前に説明してくれるかどうかです。ここを説明しない相談先は、要求と補償の噛み合わない保険を勧めてしまうことがあります。

あわせて、海外で訴状や請求書が届いたときに、保険会社の海外の窓口へ正しくつなぎ、現地で何をしてはいけないかをその場で伝えられる体制があるかも確かめてください。補償が付いていても、初動が遅れれば防御は後手に回ります。

5. 更新時の証明書の再発行まで管理してくれるか
証明書は保険を更新するたびに新しくなります。相手方との契約が続く限り、切れ目なく出し続ける必要があります。更新の時期を先方が管理してくれるかを確かめてください。

4. 当センターの立ち位置

当センター(GBIC東京)は、株式会社BEAMリスクマネージの海外ビジネス保険の専門窓口です。海外展示会・国際学会への出展と、海外の取引先との契約に必要な保険(英文CGL、英文付保証明書、海外PL、E&O)に絞って対応しています。要求文の読み解きから証明書の発行、更新の管理、事故のときの初動までを一つの窓口で行います。

取り扱っている保険の一覧は「取扱保険商品一覧」に、証明書の発行の流れは「英文付保証明書(COI)の発行」にまとめています。

5. よくあるご質問

Q. いま付き合いのある保険代理店とは別に相談してもよいのですか。
A. 構いません。英文CGLは既存の国内の保険とは別の契約になるので、既存の代理店との関係はそのままで、海外向けの部分だけを当センターで設計する形が多いです。

Q. 保険会社に直接聞いたほうが早くないですか。
A. 保険会社は約款の説明はしますが、相手方の要求文を読み解いて証明書の項目に落とし込む作業は、代理店の役割です。要求文を持って相談できる窓口が必要です。

Q. 相談だけでも受けてもらえますか。
A. 受けています。要求文をお送りいただければ、満たせる項目と満たせない項目を整理してお返しします。そのうえで進めるかどうかをご判断ください。

6. まとめ

  • 英文CGLを扱える代理店が少ないのは、引受保険会社の限定、要求文の読み解き、証明書の実務、件数の少なさの4つが重なるためです。
  • 相談先を選ぶときは、原文で読むか、証明書の発行を期間で言えるか、追加被保険者などを設計できるか、免責と訴訟費用(と事故の初動)を先に説明するか、更新まで管理するか、の5点で確かめてください。
  • 当センターは、この5点を一つの窓口で行っています。要求文の英語原文を、そのまま gbic@beam-rm.jp へお送りください。

7. 関連ページ

※この記事は、賠償責任保険の考え方の概要をご説明したものです。実際に補償される範囲は、ご契約いただく保険会社の約款および証券の記載によります。

  • このブログの記事は「若宮大志」が書きました。

    若宮大志

    平素、ご契約者様には弊社にて保険契約を賜り、誠にありがとうございます。また取引業者様におかれましても、弊社の業務運営において日頃多大なご支援をいただき感謝を申し上げます。

     さて昨今の大きな問題として、自然災害の増加、資源・物価高による保険金の増大、保険金の不正請求等にもより、お客様にお支払いいただく保険料の上昇が顕著となった1年間でした。また損保大手4社による企業カルテル問題では、大きなところでは政策保有株の原則禁止と表明されたり、小さな部分では他社証券の取得や満期更改情報の取得を制限すると表明されたりしましたが、実質的に保険業界の企業体質はなかなか変わらないことが危惧されます。また保険会社の営業職員や保険代理店社員がお客様の保険料を不正に流用したり、店主が顧客と結託し、保険金詐欺に加担していた事件も明るみとなりました。

     国も企業も、身を正すことができない大人たちが跋扈することによって、業界が成長しないばかりか市場における競争力が失われ続けていると感じます。それは国内のみならまだしも、グローバルで相対的に力を失っているのが一番大きな弊害だと感じるものです。

     私たち株式会社BEAMリスクマネージは、政府による指導や保険会社の改革を待つのではなく、高いレベルのコンプライアンス基準による業務遂行を通じ、日本を、世界をリードする最先端の保険コンサルティング会社を目指してまいります。引き続きのご指導、ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。


    2024年12月吉日
    株式会社BEAMリスクマネージ
    代表取締役 若宮 大志

     

    プロフィール

    若宮 大志(わかみや たいし)
    株式会社BEAMリスクマネージ 代表取締役
    海外ビジネス保険センター(GBIC東京)責任者

    保険業界での実務経験は13年。うち8年を海外ビジネス保険に専従しています。

    AIG損害保険株式会社に在籍したのち、2020年5月に株式会社BEAMリスクマネージを設立。同年8月にAIG損害保険を退職し、独立しました。

    国内の法人保険を手がける中で、海外に事業を広げようとする中小企業が「英文の証券が用意できない」「主催者から届いた英文の要求が読み解けない」という理由で、商談や出展を止めてしまう場面に何度も立ち会いました。保険が事業の足かせになっている——この状況を変えたいと考え、海外ビジネス保険に専門特化しています。

    現在も、AIG損害保険をはじめChubb損害保険、スター保険会社など、海外リスクの引受に強い保険会社を取り扱っています。

    専門領域

    • 海外展示会保険(主催者指定要件への対応、英文付保証明書の発行)
    • 英文CGL・PL保険(海外での賠償責任)
    • 外航貨物海上保険(輸出入貨物の輸送中・保管中)
    • 貿易保険
    • 取引信用保険(海外売掛債権の未回収リスク)
    • 海外リコール保険
    • 海外拠点を含むサイバー保険
    • グローバル保険プログラム(海外子会社を含む保険の一元管理)

    取扱保険会社:AIG損害保険、Chubb損害保険、スター保険会社

    保有資格

    • 損害保険トータルプランナー(日本損害保険協会)
    • 貿易実務検定

    対応実績

    独立以来の累計で、次の実績があります。

    • 海外展開を支援した企業(累計) …… 約150社
    • 海外展示会の保険手配(累計) …… 約180件
    • 対応した国・地域 …… 22カ国

    海外展示会の保険手配では、主催者が求める補償項目・補償限度額・追加被保険者(Additional Insured)の記載要件を確認したうえで保険を設計し、英文付保証明書(COI)を発行しています。

    英語対応

    英文証券および英文付保証明書(COI)の発行に対応しています。

    主催者から届く英文の出展要項を読み解き、「Commercial General Liability USD 1,000,000」「Additional Insured」「Waiver of Subrogation」といった要求条件が日本のどの保険に対応するのかを確認したうえで手配します。

    出展要項をそのままお送りいただければ、こちらで内容を確認します。

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    海外ビジネス保険センター(GBIC東京)
    〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目10番8号 渋谷道玄坂東急ビル2F-C
    TEL 03-4218-6981(平日 9:30〜18:00)
    Email gbic@beam-rm.jp

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