付保規制(自国保険主義)とは|海外の保険を日本で入るか、現地で調達するか

付保規制(自国保険主義)とは、その国に所在するリスク(人・物・事業活動)に対する保険は、その国で認可を受けた保険会社で契約しなければならない、という各国の規制です。多くの国が採用しており、日本の保険会社が引き受けられない保険を現地で調達する必要が生じます。一方で、賠償責任保険のように、契約の形によっては日本で加入して差し支えないものも少なくありません。

要点は3つです。

  • 労災・自動車など「人・物」にかける保険は、現地調達が原則
  • 賠償責任保険は、日本法人からの輸出、日本法人の海外出張業務、概ね3か月以内の短期契約であれば、日本で調達しても問題ないことが多い
  • どちらにするかは保険の種類と契約の形で決まる。判断に迷う場合は、契約内容と現地での活動内容をお知らせいただければ整理します

日本にも同じ考え方の規制(保険業法第186条)があります。詳しくは記事の後半で解説します。

海外ビジネス保険の契約における問題点 
~現地法の付保規制について~

✅海外ビジネス保険
✅海外展示会用保険

日本企業や、そこで勤める社員が海外で活動をする場合、日本と現地国のどちらで損害保険を加入するべきなのでしょうか。

いわゆる保険の付保規制(自国保険主義)があるものの、お客様のみならず損害保険を扱う者も正しく認識ができていないと感じます。

労災保険や自動車保険等、人や物にかける保険は確かに現地調達が前提ですが、特に賠償責任保険等は状況に応じて、日本で保険付保しておくおいて問題が無いことも多いのです。(むしろ日本で入っておかないといけないことも)

【現地国調達のメリット・デメリット】
・現地国内で適用される保険なので保険料が安い
・保険料に州税等の税金がかかる
・保険の調達や事故が発生した際の保険金請求が困難

【日本で調達しておくメリット・デメリット】
・現地調達に比べると保険料が高め
 (海外で訴訟提起されるのに備える必要から)
・不課税
・保険の調達や事故発生時に意思疎通が容易

特に以下の場合は、日本で賠償責任保険を調達しておいて全く問題ありません。

*********************
① 日本法人から商品や製品を輸出するためである。
② 日本法人による現地国での海外出張業務である。
(国内業務の延長線上という位置づけ)
③ 短期の保険契約である。※概ね3か月以内
*********************
 

 

日本にも付保規制があります|保険業法第186条

付保規制は海外だけの話ではありません。日本にも、同じ考え方の規制があります。

保険業法第186条第1項は、日本に支店等を設けない外国の保険会社について、次のように定めています。

「日本に支店等を設けない外国保険業者は、日本に住所若しくは居所を有する人若しくは日本に所在する財産又は日本国籍を有する船舶若しくは航空機に係る保険契約(政令で定める保険契約を除く。次項において同じ。)を締結してはならない。」(保険業法第186条第1項本文)

あわせて同条第2項は、日本に住む人や日本にある会社が、こうした外国の保険会社に保険を申し込む場合は、申し込む時までに内閣総理大臣(金融庁)の許可を受けなければならないとしています。

つまり日本でも、日本にある人・財産の保険は、原則として日本で認められた保険会社で契約する決まりです。海外の国々が「その国にあるリスクは、その国で認可された保険会社で」と定めているのは、これと同じ構図です。

例外として認められている保険

保険業法施行令第19条は、許可なしで外国の保険会社と契約できるものとして、次を挙げています。

  • 再保険契約
  • 国際海上運送に使う日本国籍の船舶と、それで国際間を運送中の貨物、そこから生じる責任の保険
  • 商業航空に使う日本国籍の航空機と、それで国際間を運送中の貨物、そこから生じる責任の保険
  • その他、内閣府令で定める保険契約

輸出入の貨物の保険(外航貨物海上保険)が国をまたいで手配できるのは、こうした例外が各国で設けられているためです。反対に、工場や在庫、従業員、車両など「その国にある人・物」の保険は、例外に当たらないのが普通です。現地で調達する必要があるのは、このためです。

許可が出ない場合

保険業法第186条第3項は、許可をしてはならない場合として、契約内容が法令に反する場合のほか、「日本の保険会社で同等以上の条件の契約を結ぶことが容易な場合」などを挙げています。国内で手当てできるものは国内で、という考え方です。海外の付保規制も、多くは同じ考え方に立っています。

付保規制に反する契約をすると

その国の規制に反して国外の保険会社と契約すると、次のような問題が起きることがあります。

  • その国で保険料に課される税を納めていない扱いになる
  • 事故が起きたとき、現地で保険金を受け取れない、または受け取りに手間がかかる
  • 保険会社、契約した日本企業の双方が、現地当局から問題にされる

付保規制の中身や厳しさは国によって違い、改正もあります。当センターでは、ご相談の都度、引受保険会社を通じて対象国の現在の扱いを確認したうえで、日本で手配できる部分と現地で手配が必要な部分を分けてご提案します。

参考資料

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