海外ビジネス保険とは|海外出張・駐在から輸出・展示会・現地法人まで、必要な保険の全体像

最終更新:2026年10月31日

「海外ビジネス保険」で調べると、海外出張のときに入る海外旅行保険の説明がたくさん出てきます。けれども、出張する社員を守る保険と、会社の事業を守る保険は別のものです。

海外の取引先から賠償を求められた。海外の展示会でブースの事故が起きた。輸出した製品で現地の人がけがをした。取引先から「保険に入っている証明を出してほしい」と言われた。こうした場面で使うのは、旅行保険ではなく、会社の事業としての保険です。

この記事では、海外出張・駐在の保険との違いをはっきりさせたうえで、海外ビジネスで会社が備えるべき保険の全体像を整理します。

1. 海外旅行保険(出張保険)と海外ビジネス保険の違い

  • 守るもの:海外旅行保険は出張する社員個人のけが・病気・持ち物。海外ビジネス保険は会社の事業(会社が負う賠償責任、取引、製品、拠点)
  • 補償される場面:海外旅行保険は出張中の治療費、救援者費用、個人としての賠償など。海外ビジネス保険は取引先への賠償、展示会や現地作業での事故、輸出製品の事故、代金の未回収、貨物の損害など
  • 取引先から求められるか:海外旅行保険は求められることはまずありません。海外ビジネス保険は、保険金額や追加被保険者を指定され、保険証明(COI)の提出を求められることが多くあります

出張者が海外旅行保険に入っていても、会社として負う賠償責任は補償されないのが一般的です。

2. 海外取引をする上での賠償責任保険

海外の企業と取引を始めると、会社が賠償責任を負う場面が国内より広がります。取引の形ごとに、どの賠償責任保険で備えるかを整理します。

製品の事故で、取引先や消費者から賠償を求められる

輸出した製品の欠陥で現地の消費者がけがをした場合、消費者から直接訴えられるだけでなく、販売した取引先が訴えられ、その費用を輸出者に求めてくることがあります。国内のPL保険では海外の事故は補償されないのが基本で、海外PL保険で備えます。販売店や代理店を追加被保険者にできるかも確認します。

→ 海外PL保険の見積・加入

現地での作業や業務で、取引先に損害を与える

製品の設置・修理・保守、サービスの提供など、現地で作業をする場合の事故は、海外PL保険だけでは足りません。施設・業務遂行・生産物の事故をまとめて補償する英文CGL(企業総合賠償責任保険)が求められることが多くあります。

→ 英文CGL保険

契約書で、賠償を引き受ける約束をしている

海外の取引契約には、「製品やサービスに関する請求について、売り手が買い手を補償する」といった補償条項(Hold Harmless/Indemnity)がよく入っています。保険が補償するのは、原則として法律上の賠償責任です。契約で自ら引き受けた責任まで保険で補償されるとは限らず、引受けの判断には時間がかかります。サインの前に、補償条項と保険の範囲を照らし合わせておくことが大切です。

→ 海外取引を早く前に進めるために|契約で引き受ける賠償責任(Contractual Liability)

仕事のミスで、取引先にお金の損害を与える

設計の誤りやシステムの不具合など、人のけがや物の損壊を伴わない経済的な損害は、一般的な賠償責任保険では対象外になるのが一般的です。業務過誤賠償責任保険(E&O)で備えます。

取引先から、保険の加入と証明を求められる

海外の取引先からは、保険金額(100万USD以上を指定されることが多い)や、取引先を追加被保険者にすることを条件に、保険証明(COI)の提出を求められることがよくあります。要求文の条件を満たす保険を手配し、証明を出すまでが一連の準備です。

→ 英文付保証明書(COI)発行

3. 海外で会社が負うそのほかのリスクと保険

海外展示会に出展する

ブースでの来場者のけが、レンタル品の破損などで、会社が賠償を求められます。主催者から保険金額や追加被保険者を指定されることがよくあります。

→ 海外展示会保険

取引の代金と貨物

取引先の倒産や未払いには輸出取引信用保険、輸送中の貨物の損害には外航貨物海上保険を使います。どちらが貨物の保険をかけるかは、貿易条件(インコタームズ)で決まります。

→ 海外取引の保険|代金未回収・貨物の事故・製品事故に備える4つの保険と選び方

海外に拠点をつくる

現地の子会社や工場の保険は、多くの国で現地の保険会社で手配する必要があります(付保規制)。日本側の保険とあわせて設計します。

→ 付保規制とは|「付保」の意味と、海外の保険を日本で入るか現地で調達するか

4. 海外出張・駐在の保険は、会社として入っておく

社員の海外出張には、海外旅行保険(出張保険)を会社として契約しておくと、出張のたびの手配や入り忘れを防げます。年間で契約し、出張のたびに申し込む手間を減らせる形もあります。

海外の事業所に所属して働く駐在員は、労災保険の特別加入の手続きをしないと国内の労災保険の対象になりません。駐在員の保険は、労災とあわせて考えます。

当センターでは、海外出張保険のご相談も多くいただいています。出張者の保険と事業の保険を、まとめてご相談いただけます。

5. 場面別・必要な保険の早見表

  • 海外の企業と取引する → 海外PL保険・英文CGL(取引の形による)、契約の補償条項の確認、取引信用・貨物の保険
  • 取引先から保険の証明を求められた → 要求文を読み解き、条件を満たす保険を手配してCOIを発行
  • 海外の展示会に出展する → 海外展示会保険(主催者の指定条件を確認)
  • 海外で設置・修理・サービスを行う → 英文CGLなど業務遂行の賠償責任保険
  • 仕事のミスで取引先に損害を与えるおそれがある → 業務過誤賠償責任保険(E&O)
  • 海外に拠点をつくる → 現地での保険手配(付保規制)と日本側の保険の組み合わせ
  • 社員が海外へ出張・駐在する → 海外出張保険(駐在員は労災の特別加入も確認)

→ 海外進出の保険|輸出・展示会・現地法人で変わる必要補償

6. よくあるご質問

Q. 社員全員に海外旅行保険をかけています。海外の取引や展示会もこれで大丈夫ですか。

A. 海外旅行保険は、出張する社員個人のけがや病気、個人としての賠償に備える保険です。取引先への賠償や展示会のブースでの事故など、会社の事業として負う賠償責任は対象外になるのが一般的です。

Q. 取引先から「英文の保険証明を出してほしい」と言われました。何から始めればよいですか。

A. 取引先が求めているのは、多くの場合、会社の賠償責任保険の証明です。保険金額や追加被保険者などの条件が指定されていることも多いため、要求文(英文のままで構いません)をお送りください。

Q. 出張の保険と、取引や展示会の保険をまとめて相談できますか。

A. できます。出張者の保険と、事業の賠償責任、輸出・取引の保険を、海外ビジネス全体を見たうえでまとめてご提案します。

7. まとめ

海外ビジネス保険は、出張する社員を守る海外旅行保険とは別に、会社の事業を守るための保険です。海外取引で負う賠償責任、展示会、輸出、拠点づくりと、場面ごとに必要な保険が変わります。

海外ビジネス保険センター(GBIC東京)では、海外PL、英文CGL、海外展示会、取引の保険から、出張者の保険まで、海外ビジネスの保険をまとめてご相談いただけます。

→ ご相談・お見積りはこちら

  • このブログの記事は「若宮大志」が書きました。

    若宮大志

    平素、ご契約者様には弊社にて保険契約を賜り、誠にありがとうございます。また取引業者様におかれましても、弊社の業務運営において日頃多大なご支援をいただき感謝を申し上げます。

     さて昨今の大きな問題として、自然災害の増加、資源・物価高による保険金の増大、保険金の不正請求等にもより、お客様にお支払いいただく保険料の上昇が顕著となった1年間でした。また損保大手4社による企業カルテル問題では、大きなところでは政策保有株の原則禁止と表明されたり、小さな部分では他社証券の取得や満期更改情報の取得を制限すると表明されたりしましたが、実質的に保険業界の企業体質はなかなか変わらないことが危惧されます。また保険会社の営業職員や保険代理店社員がお客様の保険料を不正に流用したり、店主が顧客と結託し、保険金詐欺に加担していた事件も明るみとなりました。

     国も企業も、身を正すことができない大人たちが跋扈することによって、業界が成長しないばかりか市場における競争力が失われ続けていると感じます。それは国内のみならまだしも、グローバルで相対的に力を失っているのが一番大きな弊害だと感じるものです。

     私たち株式会社BEAMリスクマネージは、政府による指導や保険会社の改革を待つのではなく、高いレベルのコンプライアンス基準による業務遂行を通じ、日本を、世界をリードする最先端の保険コンサルティング会社を目指してまいります。引き続きのご指導、ご鞭撻のほど何卒宜しくお願い申し上げます。


    2024年12月吉日
    株式会社BEAMリスクマネージ
    代表取締役 若宮 大志

     

    プロフィール

    若宮 大志(わかみや たいし)
    株式会社BEAMリスクマネージ 代表取締役
    海外ビジネス保険センター(GBIC東京)責任者

    保険業界での実務経験は13年。うち8年を海外ビジネス保険に専従しています。

    AIG損害保険株式会社に在籍したのち、2020年5月に株式会社BEAMリスクマネージを設立。同年8月にAIG損害保険を退職し、独立しました。

    国内の法人保険を手がける中で、海外に事業を広げようとする中小企業が「英文の証券が用意できない」「主催者から届いた英文の要求が読み解けない」という理由で、商談や出展を止めてしまう場面に何度も立ち会いました。保険が事業の足かせになっている——この状況を変えたいと考え、海外ビジネス保険に専門特化しています。

    現在も、AIG損害保険をはじめChubb損害保険、スター保険会社など、海外リスクの引受に強い保険会社を取り扱っています。

    専門領域

    • 海外展示会保険(主催者指定要件への対応、英文付保証明書の発行)
    • 英文CGL・PL保険(海外での賠償責任)
    • 外航貨物海上保険(輸出入貨物の輸送中・保管中)
    • 貿易保険
    • 取引信用保険(海外売掛債権の未回収リスク)
    • 海外リコール保険
    • 海外拠点を含むサイバー保険
    • グローバル保険プログラム(海外子会社を含む保険の一元管理)

    取扱保険会社:AIG損害保険、Chubb損害保険、スター保険会社

    保有資格

    • 損害保険トータルプランナー(日本損害保険協会)
    • 貿易実務検定

    対応実績

    独立以来の累計で、次の実績があります。

    • 海外展開を支援した企業(累計) …… 約150社
    • 海外展示会の保険手配(累計) …… 約180件
    • 対応した国・地域 …… 22カ国

    海外展示会の保険手配では、主催者が求める補償項目・補償限度額・追加被保険者(Additional Insured)の記載要件を確認したうえで保険を設計し、英文付保証明書(COI)を発行しています。

    英語対応

    英文証券および英文付保証明書(COI)の発行に対応しています。

    主催者から届く英文の出展要項を読み解き、「Commercial General Liability USD 1,000,000」「Additional Insured」「Waiver of Subrogation」といった要求条件が日本のどの保険に対応するのかを確認したうえで手配します。

    出展要項をそのままお送りいただければ、こちらで内容を確認します。

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    海外ビジネス保険センター(GBIC東京)
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