英文付保証明書(COI)|要求文に書かれている条件を実例で解説

海外の展示会や学会への出展が決まると、主催者から「英文付保証明書(Certificate of Insurance)を提出してください」と求められることがあります。
 
はじめて目にすると、何を用意すればよいのか分かりにくい書類です。
要求文は英語で書かれており、聞き慣れない条項の名前が並びます。
 
この記事では、実際に届いた要求文を1件、そのままご紹介します。
どのような条件が指定されるのか、そして判断に迷ったときにどうしていただければよいのかをお伝えします。

 

1. 英文付保証明書(COI)とは



英文付保証明書(COI)は「Certificate of Insurance」の略で、保険に加入していることを英文で証明する書類です。海外の展示会では、主催者や会場側から出展の条件として提出を求められます。
 
ここで押さえておきたいのは、英文付保証明書(COI)そのものは保険ではない、という点です。主催者が指定した条件を満たす保険に加入し、その加入内容を英文で証明したものが英文付保証明書(COI)です。
 
順番としては、保険が先で、証明書は後になります。
ですから「英文付保証明書(COI)を出してください」と言われたときに最初に確認すべきなのは、証明書の書式ではなく、どの保険をどんな条件で用意する必要があるのか、ということです。


 

日本語の「保険加入証明書」との違い


日本にも「保険加入証明書」「付保証明書」と呼ばれる書類があります。ただしこれは、日本の保険会社が国内向けに、あるいは海外旅行や留学のために発行するものです。
 
海外展示会で求められる英文付保証明書(COI)は、主催者が指定した条件を満たしていることを証明するものです。日本の保険証券を英訳すれば足りる、というものではありません。


 

2. 実例:ある国際学会の要求文



実際に届いた要求文を1件ご紹介します。2026年9月にソウルで開催される、ある国際学会の出展者マニュアルには、次のように書かれていました。
 
・主催者は出展者の保険リスクを負わない。出展者は自ら保険を手配すること
・賠償責任保険(Commercial General Liability)に加入している証明を、全出展者が提出すること
・限度額は1事故あたり USD 2,500,000 以上(Inclusive Limit=限度額の建て付けの指定)
・第三者の身体障害および財物損壊を補償すること
・必要に応じて Non-Owned Automobile(非所有自動車)を含むこと
・必要に応じて Host Liquor Liability(酒類提供に関する責任)を含むこと
・Cross Liability Clause(交叉責任条項)を含むこと
・追加被保険者として3者を記載すること(学会事務局・学会本体・会場運営者)
・提出期限は開催の約2か月前。それ以降に出展が確定した場合は、搬入前までに提出すること
・補償は会期を通じて有効であること
 
この1件だけで、確認すべき項目が10近くあります。
 
そして、これは1つの学会の例にすぎません。求められる保険の種類も、限度額も、追加被保険者の数も、展示会ごとに変わります。
 
なお、ここに出てくる Host Liquor Liability や Cross Liability Clause は、日本の賠償責任保険にそもそも対応する項目がありません。日本の証券を英訳しても、この形にはならないということです。

 

3. 要求文で指定される主な項目


上の実例に出てきた条件を整理すると、要求文で指定されるのは、おおむね次の5つです。
 
① 保険の種類
② 補償限度額
③ Additional Insured(追加被保険者)
④ 提出期限と提出方法
⑤ その他の条項
 
①の保険の種類として、海外展示会でよく指定されるのが Commercial General Liability(CGL/賠償責任保険)です。事業活動にともなう対人・対物の賠償責任を補償する保険です。
 
ただし、CGLに加入していればどれでもよい、というわけではありません。同じCGLでも、限度額の設定、追加被保険者の記載、含めるべき条項は主催者ごとに異なります。
②以降が要求文どおりになっていなければ、①を満たしていても受け取ってもらえません。


 

4. 保険の始期も、要求文で決まります



見落とされやすいのが、いつから補償が有効である必要があるか、という点です。
 
これもお客様がご自身で決めるものではなく、主催者の付保要請によって決まります。
 
上の実例では、搬入前(prior to move-in)までに証明書を提出すること、補償は会期を通じて(for the duration of the event)有効であること、と指定されています。この場合、始期は搬入日以前、終期は会期終了以降ということになります。
 
必要な保険も、補償額も、保険の始期も、すべて要求文次第です。


 

5. 英文付保証明書(COI)が差し戻される理由



英文付保証明書(COI)を提出しても、主催者から差し戻されることがあります。多いのは次の3つです。
 
・保険金額が主催者の指示どおりに設定されていない
・Additional Insured(追加被保険者)と Waiver of Subrogation(求償権放棄)の対象先が設定されていない、または対象を取り違えている
・Policy Holder(保険契約者)の設定と記載がない
 
2つめについて、上の実例では追加被保険者が3者指定されていました。主催者だけを記載して、事務局と会場運営者を落としてしまう。これが「対象の取り違え」の典型例です。
 
要求文を読み飛ばして起きるというより、どこまでが指定の範囲なのかを読み取りきれずに起きます。



 

直せる期限は、開催日ではなく保険の始期です



差し戻しが発生した場合でも、保険始期の前であれば、修正や変更ができます。

逆に、保険始期を過ぎてしまうと直せません。
 
つまり、実質的な締切は展示会の開催日ではなく、保険の始期です。開催日まで日数があるように見えても、始期が搬入日以前に設定されていれば、そこが期限になります。

 

6. 発行に必要なものと、ご負担いただく費用



英文付保証明書(COI)の発行に必要なのは、次の2つです。
 
・CGLの申込書
・保険料のお振込み
 
当社の手数料は不要です。お客様にご負担いただくのは、保険料と、その振込手数料のみです。

 

7. 主催者へのご提出



英文付保証明書(COI)は、お客様から主催者へご提出いただきます。当社から主催者へ直接お送りすることはありません。
 
提出方法は主催者によって異なります。メールへの添付、出展者ポータルへのアップロードなど、指定された方法でご提出ください。


 

8. 判断に迷ったら、要求文をそのままお送りください



ここまでご覧いただいたとおり、要求文には細かい条件が並びます。ご自身で読み解いて、どれを満たす必要があるかを判断していただく必要はありません。
 
日本語に訳したり、関係がありそうな部分だけを抜き出したりせず、届いたものをそのままお送りください。抜き出す段階で、判断が必要になってしまうためです。
 
内容を確認のうえ、ご案内いたします。



 

お送りいただきたいもの



主催者から届いた要求文を、次のいずれかの形でお送りください。
 
・PDF
・スクリーンショット
・出展者マニュアルそのもの


 

送り先



海外ビジネス保険センター(GBIC東京)
Email:gbic@beam-rm.jp
TEL:03-4218-6981(平日 9:30〜18:00)
 
【お問い合わせフォームはこちら】
 

海外展示会の保険は、英文証券と英文付保証明書(COI)の発行が前提になるため、扱える代理店が限られています。はじめての海外出展で不安な点や分からない点があれば、お気軽にご相談ください。
 

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。実際の補償内容は保険会社の約款および個別の契約条件によります。詳細はお問い合わせください。

 

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